Books:本の紹介

『ガラス紀行』2017.06.17

『ガラス紀行』

  • 大津年子
  • 1992
  • 駸々堂
  • 307ページ
  1. 炎の躍動-男性作家の世界
  2. 心の投影-女性作家の世界
  3. 伝統を紡ぐ-工人たちの世界
  4. ガラス界のパイオニア
  5. ガラスの裾野を広げて

vitrum lab.評

小樽から鹿児島までの現代ガラス作家、職人、教育機関を訪ね、一人数ページで次々と紹介していくという内容。
一人あたりに割かれるページは5~6ページのため結構な人数が登場します。私がガラスを研究するずいぶん前の本のためか、
知っている人はあまりいませんでしたが、ガラス作家も十人十色であることがよく分かる内容でした。親から引き継いだ人、脱サラした人、デザインから入った人、いわゆるエリート大学出身者だった人、単なる興味から足を踏み入れた人、独立はせず、企業に属しながら作る人・・・本当に様々な経歴でガラスに踏み込んだ人たちです。ただ、今この人たちがどうしているかは分かりませんが。バブルな時代だったからこそできた感はありますが、それでも安定収入を捨てて好きな道に入るというのは勇気がいることだったと思います。

本書ではガラスの歴史的、技術的なことはほとんど語られてはおらず、人そのものに対する関心から書かれているので、普段は聞くことのない作家や職人の生の声を取り上げている点ではガラスを研究する人よりもつくる仕事に就きたい人の方が何かしら参考になるかもしれません。個人的には企業に属さず独りで工房を持って活動するというスタイルの先駆者・小谷氏、東京ガラス工芸研究所を立ち上げた由水氏の
取材が興味深かったです。

vitrum labook

ここで紹介した本とお勧め本

2017.06.17 00:35 | ガラス,

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