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『海を渡った人類の遥かな歴史』 – Vitrum Lab.

Books:本の紹介

『海を渡った人類の遥かな歴史』2017.09.17

『海を渡った人類の遥かな歴史』

  • ブライアン・フェイガン著 東郷えりか 訳
  • 2013
  • 河出書房新社
  • 381ページ
  1. 太平洋を越えて
  2. ポセイドンの海
  3. モンスーンの世界
  4. 北海の荒海
  5. 太平洋を西に見て

vitrum lab.評

おおざっぱに太平洋、地中海、インド洋~アフリカ東岸、北ヨーロッパ沿岸、北アメリカ西岸、という分け方で各地域の海と人間とのつながりが書かれています。著者は自ら船に乗る一方、考古学的、人類学的な研究活動を通して自然環境と人間との関わりを研究する人。

ここでスポットを当てているのはコロンブスやヴァイキングのような歴史の舞台に登場するような船乗りではなく、日々の暮らしの中で、漁や交易のために海に漕ぎ出していた名もなき人々。彼らは、公式では大陸や航行ルートを開拓したとは認められてはいないが、おそらく公認者たちよりももっと前に、近海の陸を認識し、航行ルートを開拓し、上陸し、住んでさえいた可能性がある人々です。そして現代においても最新機器のない小さな船で風や波を読み、星の位置や陸標を熟知し、またそれらを子どもに伝えている人々でもあります。

素人目では木の板や植物繊維を組み合わせただけの簡単で危険そうに見える船も、著者のような船に精通した専門家がみると評価ががらりと変わります。その地域特有の風と波を長年の経験から読むことができる船乗りは優秀な船大工でもありました。各地の船の特徴が異なるのは興味深い。

本書には比較的新しくはありますがガラスが少し登場します。著者が発掘したたった1点のガラス玉。海の歴史を知る著者の解釈は、推測が多分に含まれているとはいえ、陸上交易だけの視点とは違う解釈を可能にしていて興味深い。

総じて、海を渡った人類の歴史というタイトルではありますが、特定の人物はほとんど登場しない、造船や操船技術の専門書でもない、そのため訳者も「訳し終えた後も何の本なのか一言では表せない」と言わしめるような本ですが、陸海含めて、歴史を紡ぐのは教科書にでてくるようないわば大役者ではなく、教科書には登場しないたくさんの脇役であり、その脇役を主人公にした本ということになります。

 

vitrum labook

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2017.09.17 02:27 | ガラス, , 考古学

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