第11回アジア考古学四学会合同講演会「アジアの煌めき」③-12018.01.30
斎藤あや 「弥生・古墳時代のガラスの生産と流通」
日本において大量に出土しているガラス玉は直径が2mm~10mmと大きさが様々、形状も
壁、釧、勾玉、管玉、重曹玉、小玉と様々。多くは西日本が中心であるが、小玉は東日本からも
多く出土しています。そこで東日本に着目して主に小玉についての発表でした。
小玉について
- 技法
引き伸ばし:中空の状態で作った種を伸ばしてカットすると穴の開いた玉ができる。多数出土。
巻き付け:芯に熔解ガラスを巻き付ける
鋳型:くぼみのある型に砕いたガラス片を充填して加熱すると型通りの玉ができる。
- 材質
弥生時代後期のガラス小玉の流通
北部九州では弥生時代中期初頭からガラス小玉が確認されるが、全国に普及するのは
弥生時代後期以降。引き伸ばし法が多くみられる。国内生産の証拠がなく、1部を除いて
舶載品と考えられる。
- 後期前半
北部九州・・・カリガラス(紺色、淡青色)中心、高アルミナタイプ(淡紺色)、ソーダガラス(茶色、緑色のプロト高アルミナタイプ)も混在するなど、様々な小玉がみられる。
近畿(丹後半島)・・・カリガラス(淡青色)中心
関東地方・・・丹後半島と類似近畿と関東地方の出土ガラス玉の組成が似ることから、流通経路は琵琶湖東側を南下、太平洋側を東へ伝うルートか?
- 後期後半
北部九州・・・カリガラス、ソーダガラス(ナトロンタイプ、高アルミナタイプ、プロト高アルミナタイプ)
近畿(丹後半島)・・・鉛ガラス(鉛タイプ、鉛バリウムタイプ)へと変化。出土数減少
関東地方<北関東>・・・カリガラス(淡青色)
<南関東>・・・カリガラス(紺色)の大型化。流通経路はガラス組成が類似する地域が国内で確認できず、北部九州や丹後半島以外の地域を経由した可能性がある。
続く
2018.01.30 01:05 |
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