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第11回アジア考古学四学会合同講演会「アジアの煌めき」④-3 – Vitrum Lab.

Blog:羅馬は一日にして成らず -2nd edition-

第11回アジア考古学四学会合同講演会「アジアの煌めき」④-32018.02.14

ガラス小玉の化学組成

①東アジアのガラス(鉛ガラス系)

鉛を含むため、鉛同位体比による産地推定*1が可能。

  • 鉛バリウムガラス(Group LI)
    中国産ガラス、勾玉
  • 鉛ガラス(Group LII)・・・緑色、黄色のガラス
    中国産(Group LIIA)→1世紀~2世紀 弥生時代日本へ
    百済産(Group LIIB)→7世紀 日本へ

②インド~東南アジアのガラス

ほとんどが引き伸ばし法による典型的なインド・パシフィックビーズ

  • カリガラス(Group PI)
    紺色、南インドのアリカメドゥ遺跡から同類のガラス玉出土多い
  • カリガラス(Group PII)
    淡青色、ベトナム中部~中国南部に同類のガラス玉出土多い
  • ソーダガラス(Group SII)
    高アルミナ、典型的なインド~東南アジアのガラス組成
  • ソーダガラス(Group SIV)
    紺色、インド・パシフィックビーズ、生産地が複数候補あり、PIと同時期
  • ソーダガラス(Group SVA)
    高アルミナ、典型的なインド・パシフィックビーズ。SI(コバルト、地中海沿岸地域のガラス)と似ているが、ストロンチウム同位体比ではSIとは異なる数値。また、SIIとの関連性が高いが化学組成や流通経路が異なる。日本で早くから流通(弥生時代後期)。アリカメドゥ遺跡で多く出土するソーダガラスに該当か?

上記グループのうち、SIIおよびSVAには人工黄色顔料である錫酸鉛(PbSnO3)を着色剤として用いたガラス小玉の測定例がある。これらの鉛同位体比は近く、タイのソント鉱山の鉛と一致。

③地中海沿岸地域のガラス

アルカリ分としてナトロンを用いたナトロンガラスと植物灰を用いた植物灰ガラスがある。ナトロンガラスは地中海沿岸地域、植物灰ガラスは西アジア~中央アジアのガラスの特徴。

  • ソーダガラス(Group SI)
    地中海地域発祥のナトロンガラス。その一部が現イスラエル付近で製作されたとされる「Levantine I」タイプ*2。ストロンチウム同位体比からの分析では日本で出土しているソーダガラスの多くが地中海地域の中でも特に東地中海沿岸地域産。
    包み巻き法や連珠法など特殊技法(重層ガラス)に偏り、引き伸ばし法のガラス小玉は存在しない。

④西アジア~中央アジアのガラス

植物灰ガラス(Group SIII)が中心。エジプト(当時ローマ帝国領)で産出するナトロンの入手が困難だったため、別のアルカリ分として植物灰を用いたと考えられる。このグループはさらに製作技法や着色剤によって3つに細分される。

  • ソーダガラス(Group SIIIA)
    鉄による着色で黄色や茶褐色透明、包み巻き法、出土数は少ない
  • ソーダガラス(Group SIIIB)
    5世紀後半に出現。紺色、ほとんどが引き伸ばし法だが、直径6mmを超える大型の玉でインド・パシフィックビーズとは異なる。
  • ソーダガラス(Group SIIIC)
    紺色が多いが他の色も含まれる、変則的な引き伸ばしによる玉。
    飛鳥寺塔心から見つかった錫酸鉛による黄色不透明ガラスの鉛同位体比産地推定によればタイのソント鉱山とは異なる値を示した。

以上のほか重層玉やモザイク玉もSIIIに含まれている。特殊な事例として、1つの玉にSIとSIIIの特徴を有する玉も確認されている。二つのガラスをくっつけて伸ばした時の境目にあたる場所か?

*1 鉛同位体比産地推定法:鉛(Pb)には安定した同位体(性質は同じで質量が異なるもの)が204Pb、206Pb、207Pb、208Pbの4つある。これらは同じ鉛でもルーツが異なり、ウラン(U)やトリウム(Th)が自ら放射線を放出して別の原子に変わる「放射改変」を起こして鉛になる。放射改変はペースが一定のためその速度は計算することができ、もとの同位体の半分が別の原子になるのにかかる時間を「半減期」と呼ぶ。具体的には238Uが半減期45億年で206Pbに、235Uは半減期7.1億年で207Pbに、232Thは半減期140億年で208Pbになり、204Pbはもともと鉛で、これらの比率が各地の鉛鉱床によって異なることから、鉛鉱床のデータと鉛ガラスから検出された鉛の同比退避を比較して産地が推定できる。使用した鉛の産地が推定できるのであって、必ずしも鉛ガラスの産地と同じとは限らないが、古代のガラス製作地を推定する有効なデータにはなり得る。

*2 Levantine Iタイプ:ローマ・ガラスの一般的なガラス。ベールス川(現イスラエル)の砂が原料と考えられている。4~7世紀。

 

2018.02.14 12:07 | ブログ, 研究会

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