Books:本の紹介

『ゲタイ族と黄金遺宝』2019.03.12

『ゲタイ族と黄金遺宝』古代ブルガリア・トラキア人の世界

ディアナ・ゲルゴヴァ 著 千本真生 訳・監修
田尾誠敏 松前もゆる 訳
愛育社
2016
142ページ

  1. 知られざるトラキア人ゲタイ族とザルモクシス神
  2. 神々への聖なる捧げ物で満たされたゲタイの大地
  3. 謎の都ダウスダヴァと王墓
  4. 聖地に残されたゲタイ族の伝統

vitrum lab.評

トラキア人とはバルカン半島東部とエーゲ海の島々にわたる広範囲な領域に住んでいた
古代の部族の総称で、現代のブルガリアが中核地域だったとされる。初源は前5千年紀にさかのぼる。
そのうちの一部族、ゲタイ族にスポットを当てたのがこの本。近年、ブルガリアより多くの黄金品が
発見され注目浴びました。それがゲタイ族と関係するものと考えられており、アレキサンダー大王の
父、フィリポス2世の墓から見つかったものと似ていて関連性が指摘されています。

ブルガリアは日本人からしてはあまりなじみがなく、その歴史を知る機会も少ないですが、
ギリシア、ローマ帝国を中心として単純化して語られることが多いヨーロッパ史が、実は
もっと多くの諸民族が活躍して、注目に値する証を残していることを知ることができる
内容でした。文字を残すことをしなかったトラキア人の事を知る貴重な発見の数々を
写真付きで見ることができます。著者は黄金製品の発掘に携わった考古学者ですが、
いかにしてこの遺跡を遺していくかを訴えていることも印象的でした。

 

vitrum labook
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2019.03.12 08:46 | ブログ, , 考古学

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