「新沢千塚 里帰り展」で紹介したカットガラス碗の記事がでていました。
新沢千塚古墳群の126号墓(5世紀)出土カットガラス碗の化学組成が、ササン朝ペルシア(3~7世紀)の王宮遺跡で
発見されたガラス片(5~7世紀)とほぼ同じだったという内容です。
ペルシアで作られていたガラスと126号墳出土カットガラス碗の組成が似ていることから、カットガラス碗は
同じ原料を使っていたペルシアで作られ、奈良にもたらされたと考えられるということ。
ここ十数年で出土品を破壊することなく分析できる「非破壊分析法」が開発され、古代ガラスの研究でも盛んに
成分分析が行われています。別の記事(コチラ)では不純物の少ない高級品の部類に入るというコメントがあります。
目では分からない成分を科学の目で見ると特徴が浮かび上がり、他のガラスと比較して製造地や原料の採取地、
貿易ルート、偽物か本物か、などなどたくさんの手掛かりを知ることができます。
とはいえ、成分分析のみで判断することの怖さもあり、考古学的な成果と合わせての分析が
求められます。
それにしても別の記事(コチラ)にもありましたが、成分が同じペルシアのガラスが5~7世紀。
126号墳の年代は5世紀(なのでここに埋葬されていたカットガラスは5世紀より前に作られている)。
これらの年代が間違っていないとすれば、作られて日本にもたらされるまでのあまりの早いことよ。
ちなみにカットガラス碗は東京国立博物館平成館で12月7日まで展示されているとのこと。なるほど、
だから「里帰り展」で展示されていなかったのか….どちらかずらすことができなかったのか?(笑)