サントリー美術館
2017年1月25日~3月12日
コレクターについては詳しくありませんが野依氏と辻氏の所蔵品が当美術館コレクションになったことを機に
開催された展示。特に辻氏はガラスコレクションがある。
東京メトロ日比谷線・六本木駅から直通の東京ミッドタウンガレリア3階にあるサントリー美術館。
展示内容はヨーロッパ陶磁器と世界のガラスということですが、あまり時間もなかったため、ガラス、特に古代のガラスを
中心に観て帰路につきました。撮影は可能。
博物館と違って個人コレクションの展示なので、一つ一つの時代の作品は多くはなかったです。
陶磁器とガラスという素材に限っているということもあるかもしれません。
ただ、ガラスに関しては特に興味がある「二連瓶」が展示されているのを知っていたので、ほとんどこれを観るためだけに
行ったと言っても過言ではありません。「二連瓶」はなかには装飾が過剰なものもありますが、展示品はいたってシンプルな、
吊手が1つついただけのものでした。しかし瓶の向かって右側の部屋にスティックがささっている珍しい展示品。
このスティックの存在と、別の研究で内容物の分析から化粧品という判断がされたことから、
二連瓶は化粧瓶だったと考えられています。現代はこのような形の化粧瓶は見かけませんが、
ローマ時代、特に4~5世紀はたくさん作られていました。古代エジプトにすでにこの形が見られ、
木製の蓋つき二連容器が源流と考えています。
他に、少し前にシンポジウムでテーマになった円形カット碗も。
この隣には浮出し円形カット碗残欠、二重円形カット碗残欠も展示されていました。
いつか化学分析に出されるのかも。
本展示にはほとんど解説がありません。時代、出土地(製作地?)など最低限の情報のみです。
カタログにも詳しい解説はなく、コレクターの情報がやや詳しく掲載されているのみなので、
学術的な情報を得たいと思う方は多分物足りないと思います。そのような情報は美術館としては
持っているかもしれませんが、今回の展示はコレクターの眼を主体としているため、極力省いたのかもしれません。
撮影可能というありがたい条件でしたが、ケースと作品の距離が離れていてピントが合いにくく、
技法のヒントになるような細かい部分の撮影はデジタルズームとなってしまい、
手ぶれがひどくてなかなか苦労しました。
ローマ時代のガラスを中心にじっくりと見てあとは流し観しただけなので、他の展示品についてはここでは書けませんが、
じっくり見たガラスも情報がなさ過ぎて個人的には物足りない感を抱えたまま 帰ることになりました。二連瓶のスティックおよび
内容物(あれば)の分析がいつかされる時を待つとしよう。