『アマゾン文明の研究』
・・・本書においてとりわけ重点的に検証したいのは、アマゾン地域における文明の構想である。この古代文明は他地域の文明とは異なった特徴を持っている。それは、一言でいえば、アマゾンという巨大な自然の中で社会を建設するために、自然環境を大きく改変しながらも、それを破壊することなく、逆に自然との共生を図ったことである。・・・
2004年に刊行された『衝撃の古代アマゾン文明』の続編ともいうべき本です。本格的な発掘調査・民族調査・科学的調査が行われた結果、前回よりもより深い内容となっています。
熱帯雨林が生い茂るアマゾンは雨期には広範囲にわたって氾濫するので(それもものすごい規模で)、ずっと人間が安定して生活する場所ではないと考えられてきたことや、未開の地であると決め付けた西欧中心主義のために研究から排除されてきたこともあり、近年になるまで本格的な調査が行われてきませんでしたが、それでも幾人かの研究者によって少しずつ扉は開かれ、ようやく本格的な調査が開始されました。当然ながら、まだまだ未解明部分が多く、本書でもまだ仮説段階の部分が多くを占めますが、これまで一般的に「文明」とされてきたものとは異質な世界観がどのように陽の目をみるのか期待したいと思います。また、考古学的な成果も斬新ですが、西欧人が新大陸に侵略して来る前まで成し遂げていた自然との共生の姿の全面的解明にも注目です。
アマゾンに限らず、南米の古代文明ではガラスは登場しません。石を加工した装飾品は出土していますが、これらの技法に関する情報はまだまだ少ないです。
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