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『ユダの福音書を追え』 – Vitrum Lab.

Books:本の紹介

『ユダの福音書を追え』2011.01.20

『ユダの福音書を追え』

ユダの福音書を追え

  • ハーバート・クロスニー
  • 2006
  • 389ページ
  • 日経ナショナル ジオグラフィック社
  1. 砂漠の墓
  2. 大金を求めて
  3. イエスを裏切る
  4. 大物の古美術商たち
  5. 窃盗事件
  6. 最初の調査
  7. ナグ・ハマディの栄光
  8. 煉獄
  9. 学者たちの追跡
  10. 米国にいた「ユダ」
  11. ガリアの異端糾弾者
  12. フェリーニとの対立
  13. 風化
  14. 暴露
  15. パピルスのパズル
  16. 『ユダの福音書』

[はじめに]より

 ・・・そもそもこの写本は、誰が、いつ、どこで見つけたのか?発見されて以降の長い間、どこにあったのか?どうして誰もこの写本について耳にすることがなかったのか?これまで誰がこれを目にしたのか?現在、この写本を有しているのはマエケナス財団だというが、どういう経緯で手に入れたのだろう?学者をはじめ、世界中の一般の人々に写本の存在を公開することに、彼らは同意してくれるのか?誰が翻訳をするのだろうか?本書には、こうした疑問に関する答えが記されている。

vitrum lab.評

「ユダは裏切り者ではなかった」というフレーズで歴史的大発見として取り上げられた『ユダの福音書』のニュース。宗教のことはよく知らない私でもユダはイエスを売り渡したことくらいは知っていました。その内容が覆されるような発見だったのだなということくらいは容易に想像がつきましたが、そのことももちろん、本書ではパピルスで作られていた文書の復元・解読のことも書かれていたので興味を持ちました。

この写本はエジプトで発見されて以来25年間、さまざまな古美術商の手に渡り、利権争いが繰り広げられ、その間に心ない人間によって傷つけられ、またあやまった保管のされかたによってどんどんと劣化していきました。ようやく世界有数の学者や技術者によって保存処理や解読がなされ、世に出たようです。著者は歴史読み物やドキュメンタリー映画を手掛ける作家兼映画製作者です。それだけに、写本をめぐる様々な人間の思惑を自分の調査をもとに(多少脚色は加えているかもしれませんが)、推理小説のように面白く描き出しているように思いました。

エジプトの古美術商が写本を入手し、高額で売りつけようとしていました。ある日これを含め持っている美術品を全部見たいという人物が現れ、言い値で買うそぶりを見せます。用心深い古美術商は、普段分散して保管している古美術を一つ所に集めて見せてしまいます。翌日、その部屋にあった全ての美術品がなくなっていた・・・・・

なんてことが、たくさん起こります。しかしすべてその先に続きがあるのです。写本は姿を消してはまた現れるのです。また、古美術の世界にもびっくりです。お金持ちの世界です。そしてこの写本をあろうことか冷凍保存したという人物もいたことにはさすがに「ええっ!?」という感じでした。もちろんこれが与えた影響は測り知れません。これを修復する際、発表まで誰にもしられないように水面下で進められ、満を持して学会で発表されたという、研究者にとっては夢みたいな発表の仕方。まるで映画です。

これに関する他の本にDVD 『ユダの福音書』、『原典 ユダの福音書』もあり、前者は福音書の翻訳と関係者のインタビューが、後者は修復に関わった世界有数の学者のそれぞれの専門分野からならではの視点で写本について書かれており、そして本書が写本の発見から発表に至るまでの詳細な経緯を、人間の欲深い側面をえぐりだしながら描かれた本で、同じ写本を題材にしていても、内容は異なります。興味ある視点で選んだらいいかと思います。どれもそれなりに面白かったです。

vitrum labook

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2011.01.20 22:46 | 保存科学,

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