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『実験考古学』 – Vitrum Lab.

Books:本の紹介

『実験考古学』2011.07.14

『実験考古学』

実験考古学 中口祐

  • 中口 裕 著
  • 1975
  • 277ページ
  • 雄山閣
  1. 総論
    実験考古学の立場/実験考古学の方法論/実験考古学と仮説/実験考古学の歴史
  2. 各論
    穿孔と研磨/ドリルはまわる/縄文漁師とクジラ/縄文農耕のあけぼの/縄文時代の籠文化/土器の発明/攻玉の技術/土器製塩説との論争/巴形銅器の同鋳型と同規型/多鈕細文鏡の謎/多鈕細文鏡の初鋳と後鋳/銅戈の鋳造技術による分類/土鋳型文様の三期分類法/古銅器の熔接と銅鐸の鋳掛/虁鳳鏡の鋳造と紙型法/鈴鏡の鋳造技術と問題点/実験考古学の発想

vitrum lab.評

ジョン・コールズ氏による同名の文献を以前に紹介しましたが、全く内容の異なる本で、本書は純国産です。私が生まれる前に書かれた本で、学問の黎明期にみられるように、しばしば学問領域がなくいい意味で自由な発想の下での研究内容(例えば筆者自身が化学分析も行うなど。現在では実験者が自ら分析を行う例はあまり見られない)、悪い意味で、より検証を必要とするであろうが結論を急ぎ過ぎた感があるところがしばしば見受けられます。「そう結論づけるにはまだ早いのでは」と思うようなところもあります。まあ、実験考古学自体がほとんど認識されていない時代で、それを考えるとある程度考慮しながら読めば済みます。

現在ですら考古学視点で実験を行うことは少ない中(研究者ではなく技術者主導の感が否めない)、自ら製造し、それを考古学的研究にアウトプットする(例えば技術的視点で分類を試みるなど)という考え方は私は大いに賛同できました。筆者が得意とする銅の鋳造に関して、私はその技術や銅製品について詳しくは知りませんが、型式学的分類では説明がつかないことに対し、技術的な分類で説明しようとする個所があります。それが正しいのか否かは別として、実験考古学をする者にとって「考古学」という名を借りるからには、やはり単に作ってできました!で終わるのではなく(これが目的ではないのだから)、大切なのはそこから先に、どのように実験結果を繁栄させていくのかということだと思います。実験考古学は「実験」という手段を用いて研究する、考古学の一分野であって、実験が目的ではないのです。・・・・・と熱くなりましたが、筆者のそういう考え方は伝わってきました。筆者は、実験考古学に対する批判として、「実験考古学者はある方法が成功するとあたかもそれ以外の方法があり得ないと錯覚しがちである」という、とある考古学者からの言葉を引用しています。これに対し、確かに早合点は危険だが、実験をせず推論に推論を重ねることはさらに危険であると反論しています。

このやりとりだけを見ると、数多く考えられる可能性をすべて実験できない実験考古学の立場が弱いように思われますが、実は、この批判的な言葉は考古学にも同じことが言えます。「実験」という手段を使う実験考古学も、「発掘」と言う手段で過去の人類の営みを証明しようとする考古学も、発掘されるまで長い年月の間、かなりの情報が失われたものを研究対象にしています。つまり、発掘によって分かったとしていることも、やはり数ある可能性の1つなのです。そのことを理解した上でイギリスの実験考古学者ジョン・コールズ氏は、一般的で妥当だと思われる方法で実験すべきであると提唱しています。批判した考古学者と筆者とジョン・コールズ氏が一緒に飲みに行けば、その後の考古学は変わったのかもしれません!

少し話がそれましたが、中口氏の実験結果を考古学にアウトプットするという発想で考古学的にも実験的にもその後の研究が進んでいたら面白いなあと思うところもあったのですが、私の知る限り、残念ながら現在の考古学的研究、特に銅製品研究に筆者の考えが受け継がれた形跡はないように思われます。残念ながら、実験考古学は今なお黎明期と言えるかもしれません。

vitrum labook

ここで紹介した本は古いためここでは取り扱っていません・・・・

2011.07.14 23:29 | 実験考古学, , 考古学

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