ポリネシア人の祖先は南米から航海してきたという仮説を実証するため、実際に古代と同じ方法で作った筏で海を渡る航海実験を行った研究者の実話です。その仮説は誰にも信じてもらえず、業を煮やした主人公トール・ヘイエルダールは自ら航海することでそれを証明しようとし、そして実際にそれを成し遂げました。
にもかかわらず、その仮説は現在では認められていません(当時は「船がなかった」とかそういった理由で認められなかったが、現在では遺伝子学的な観点などから否定されている)。それでもこの航海について書かれた『コンティキ号漂流記」は世界中でベストセラーとなっています。
この映画で描かれているのは冒険活劇とかアクションとか大自然の脅威に打ち勝った人間像とか、そういった映画ウケするような内容というよりもむしろ、自分の説を信じて、当時だれもが不可能と思っていた筏での航海を実際に成功させたヘイエルダールの人間ドラマです。彼自身、この映画に協力していたようですが、完成を見ず亡くなられました。アクション映画好きの私も今回はその人間性がどう描かれているかに関心を寄せて観ることになりました。実験考古学のはしりだとされている人物が、周囲の反対を押しのけてまで行動に出た信念の強さが見たかったからです。これが逆に白々しいパニック映画だったらちっとも面白くなかったでしょう。
映画では様々な困難が描かれていましたが、原作にはもっと詳しいことが描かれています。日本語訳に『コン・ティキ号探検記』があります。