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シンポジウム「正倉院宝物白瑠璃碗の源流を探る -ササン朝ペルシア・ガラス研究の最先端-」④B – Vitrum Lab.

Blog:羅馬は一日にして成らず -2nd edition-

シンポジウム「正倉院宝物白瑠璃碗の源流を探る -ササン朝ペルシア・ガラス研究の最先端-」④B2017.02.18

*私が発表内容を聞きながら書き取り、レジメも参考にしつつ、備忘録として手元にある資料も使ってまとめたもので、
どうしても聞き逃しや、レジメや口頭での発言に誤りがあったりすることもあるため、内容を100%網羅しているわけではないことご了承くださいませ。

阿部善也(東京理科大) 「化学分析が明らかにしたササン朝カットガラス」(後半)

植物灰ガラスの分析結果

植物灰ガラスという結果が出た17点のガラスをさらに前述の3タイプに細分化を試みた。

・浮出カット装飾1点(MIHO所蔵)以外の16点がS2タイプ(高Mg、極めて高純度)
・16点ほぼすべてに消色剤としてMnが検出→透明度を意識した証拠
・ 浮出カット装飾1点(MIHO所蔵)はS1bタイプ

補足資料としてメソポタミアのヴェー・アルダシール出土ガラスは

・ササン朝初期(3世紀)はS1aしか見られない
・S1bおよびS2は4世紀に登場、5~7世紀に流通
・5~7世紀の各組成タイプの流通比率はS2は全体の3割しか満たない→今回の調査では17点中16点がS2だったので、この傾向とは異なる

また、

・イラン北部のその他の器種のタイプはS1a、S1bが多い

以上から、イラン北部出土のカット・ガラスのみが高純度のS2タイプで、意図的な選択を示唆している。

ナトロン・ガラスの分析結果

ナトロン・ガラスと判明した3点は

天理A、天理B、カット装飾杯。MgやKは風化の影響を受けやすいため、
影響を受けにくい重元素BaをSpring8を使って分析したところ、やはりローマ・ガラスの特徴を 示した。
これらは

天理A→HIMTタイプ
天理B→RBGタイプ
カット装飾杯 →Levantタイプ

と見事に3タイプに分かれた。このことは

・ナトロンをササンの工房で利用したのではなく、ローマ帝国内の工房でつくられたガラスを使用した
・ローマ・ガラスをササンの工房で熔かして使ったとは考えにくい

ことを意味している。すると

①ローマの工房で作られたガラスのインゴットがササンに持ち込まれ、熔かして成形された
②ローマ帝国内で製品化されたものがササンに持ち込まれ、そこでカットのみ施された

の2つの可能性が考えられる。②については四角氏が指摘している。①についてはササン朝内で
ガラスの工房跡が見つかっていないという問題がある。

天理Bに関してはRGBタイプなので4世紀より前につくられた可能性があり、正倉院ガラスが登場する前のプロトタイプかもしれない。

ササン朝のカット工房の存在が考えられるが、カット前のガラスを輸入し、カットを施すまでの期間がどれくらいあったのか、
そもそもカットを施す前の無垢のガラスが見つかっていないなど、課題は多い、

2017.02.18 01:03 | ブログ, 研究会

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