Blog:羅馬は一日にして成らず -2nd edition-

和歌山県・串本への旅052012.04.03

ガラス玉の正体

さて、おじさんのお話では、これは昔の「浮き玉」だったということでした。

答えは「浮き玉」です。港町ならではのものです。しかし今ではプラスチック製のものに取って代わり、
これを作っているところはほとんどないそうです。なので今となっては希少価値があるのかもしれませんが、
昔は海岸にごろごろと転がっていたということです。今ではこれを一部削って電球を入れ、ランプとして利
用するのだとか。たまたまお客さんとして来ていたおばちゃんがガラス玉を持っていて、「削ってランプにし
たいのやけど、削る機械がないねん~ 」と言っておりました。

ガラス玉の技法

用途が分かったところで次は製作技法なのですが、串本への旅02で書いたように、どのガラス玉もほぼ球形。
私が見た限り、色は全て青緑色。脈理といって筋のようなものがあり、また気泡が多く、リサイクルガラスを使ったような印象を受けます。
水が入らないように吹き口の穴に別のガラスで蓋をしています。その口から蓋ガラスが内部へ突出しているので、ガラスが軟らかい内に
付けられたことが分かります。しかし、吹き竿からガラスを切り離す時、支えがないとガラスは落ちてしまいます。その
ためにポンテをつけるのですが、その痕跡はありません。切り離した後、どこかに置いた状態ですぐに熱いガラスで
蓋をされたと考えられますが、その現場を見てみたいものです。ポンテを使わないで仕上げる方法は古代ローマ・ガラス
では当たり前に使われていましたが、まだ分からない点があります。 ヒントになるかもしれません。


内側に蓋ガラスが入りこ   気泡が多い
んでいる

大きさは色々あり、大きなものは型で作られた痕跡がありました。旅館で見た程度の大きさでは
宙吹き、大きなものは型を使ったということでしょうか。
ちなみに後日ランチに訪れたペスカトーレというお店でも見つけてしまいました。

というわけで、謎のガラス玉の正体は「浮き玉」でした~。
かろうじてインテリアとして再利用されていますが、やがて消えていくかもしれない運命にあるガラスの1つです。

2012.04.03 12:36 | 串本, 旅行

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