Blog:羅馬は一日にして成らず -2nd edition-

『世界の眼でみる古墳文化』2020.02.17

『世界の眼でみる古墳文化』

国立歴史民俗博物館 編
2018
123ページ

  1. 王権とモニュメント
  2. 王と墓:権威と象徴性
  3. 古墳時代の王の姿
  4. 古墳へのまなざし
  5. 古墳をみる「いま」の眼

vitrum lab.評

2018年3月6日~5月6日まで開催された国立歴史民俗博物館の特別展のカタログ。
「世界の眼でみる」とあるように、日本だけでなくアジアや欧米に残る古墳(墓)を
テーマに様々な視点から取り上げているところが特徴的です。

古墳のような巨大モニュメントはやはり当時の支配者層とのつながりが強いことから、
王族に焦点を当てた内容がほとんど。日本の古墳はランク付けがあったとされており、
サイズと形状である程度の被葬者のランクというものが想定できるが、本州全体に
そのランキングが適応できるのは、日本独特の古墳文化があったことを示唆しています。
世界の墓では、王権が次々と勃興したということもあってか、このようなランクは見られず、
被葬者個人に対する儀礼や来世を願うことに重きが置かれたような構造になっています。

もちろん日本の古墳にもそのような性格があるが、広い支配地域に一貫して同じ基本構造があって、
それに倣うかのように古墳が築かれ、当時の日本全体の中でランクがあるというのは面白い。
このように世界の墓と日本の古墳を比較するということは、日本の古墳のルーツを探るという視点では
東アジアを中心に語られることはあっても、西アジアや欧米までも含めたグローバルな視点で語られることは
あまりないので、この1冊で世界の王墓をざくっとつかめることができます。

vitrum labook

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